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【特集】新型コロナ関連(COVID-19) JAPAN 海外子会社管理 

「内部監査入門 ー コロナ時代への対応編 – 後編」

2020.12.21

前編はこちら

 ~企業の内部監査部門で働くAと先輩Kとのオフィスでの会話から~

A:「我々のチームでも内部監査の手続きを変えてゆく必要がありますか。」

     

K:「随分前からずっと議題に上がっていたことではあるけれど、最近やっとデータ分析手続きについて各方面から理解を得られるようになってきましたね。自律的、横断的な監査技術を適用する内部監査組織も増加しています。データ分析の手法を活用すると、主要なリスク領域を継続的にモニタリングすることができます。従前から内部監査に必要とされるスキルは多様で、どこでも人手不足が課題でした。これからはデータ分析が監査のカギを握るようになるでしょうね。」

A「テクノロジーの利用ですか、ちょっと難しそうですね…」

K:「そうですね。今は企業自身がデジタルトランスフォーメーションプロジェクトや自動化プロジェクトを加速するため、投資を行っています。会社の動きに合わせ、内部監査担当者もプロフェッショナルとして、監査方法論やプロセスを変革できることを示す必要があるのです。今後のデジタルトランスフォーメーションと内部監査は無縁ではないことを経営層に理解してもらうことができます。自動化は監査業務の効率化や高度化をもたらすので、我々にとって武器になります。Aさんも自動化の機会があれば積極的に取り組み、備える気持ちが大切ですよ。」

A:「内部監査は、経営のために行われると習いました。経営のニーズに応じて我々も変化するのですね。」

K:「まったくその通りです。企業経営のために必要な意思決定は、スピードを求められています。そしてデータを元に経営判断し実行するようになってきています。我々の内部監査にでもデータを活用できれば、タイムリーに経営意思決定に役立つ信頼性の高い提言をすることができようになります。経営陣に対して付加価値の高い助言を提供できる機会が生まれます。」

A:「コロナ禍で試行錯誤するなかで、将来に向けて良いものが生まれてきたのですね。」

K:「はい。会社の将来にとって重要なものは残し、このパンデミックで得た教訓を、会社の財産として活かしたいものです。」


TIPS:コロナ後のSOXコンプライアンス上の留意事項 – 後半

C プロセスとコントロールについて

  • コロナ禍では、不確実性の嵐が吹き荒れた。このため既存の業務プロセスやコントロールにとってネガティブな影響があったことは否定できないであろう。優先順位付けも再検討が必要になろう。従前は無縁であった減損や財務制限条項について検討する必要が生じた組織もあるかもしれない。改めて下記の項目を分析、調査してみよう。
    • コロナの影響を受けたプロセスを洗い出そう。
    • コロナの影響で、適切に運用されなかったキーコントロールを洗い出したか。
    • その場合、補完的コントロールやコントロールの再設計の状況はどうか。改善計画は策定したか。
    • 一時解雇や解雇された統制オーナーを確認し、後任者が誰で、統制は引き続き運用されているのか、確認したか。
    • 紙面での署名が必要とされる統制がある場合、デジタル署名やメールでの承認に代替できるように、プロセスを調整・検討したか。
  • 内外の環境の変化から従業員と会社を守るためには、自動化統制を活用して人手による統制に係るリスクを抑える方法を検討すると良い。システム・アップグレイド、ロボティック・プロセス自動化、経験的知識に基づく自動化、AI活用ツール等は、人手による統制の数を削減することに役立つ。今後のニューノーマルに対応するため、業務を合理化するうえで、テクノロジーは重要な役割を果たすことに留意する。

D 統制環境

  • SOX準拠は業務レベルのコントロールの問題に留まらず、統制環境自体についても問題となる。経営層は、ニューノーマルを照準に、統制環境を維持、再評価したであろうか。

(注)この記事は公開日現在での情報に基づいて作成されています。また基礎的な内容を中心に扱っており、専門論点を網羅するものではありません。
(参照)Workiva-amplify (2020) The IIA: What’s on Your 2021 Risk Radar?
(参照)Workiva (2020) SOX Compliance in a Post-COVID World

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