タ イ ・インドネシア・フィリピンの会計・税務

LIBRARY

【特集】新型コロナ関連(COVID-19) CHINA 国・地域情報 海外派遣社員 

【中国】中国への入国問題の現状について

2020.06.23

LIBRARY【特集】 新型コロナウィルス関連

 

※ 本ブログはBUSINESS PARTNER 株式会社BPアジアコンサルティング の原稿提供により掲載しております。

中国では新型コロナウイルス問題により、今なお厳しい入国制限を行っています。特に日本ではPCR検査による陰性証明を取ることが困難なため、中国への入国がより一層困難な状況です。

このため、一時帰国した駐在員が中国に戻れない、4月に中国現地法人に転勤辞令が出たが、中国に入国赴任できず日本で待機している方も多いとお聞きしています。

これに対して、日本経済新聞2020年6月3日朝刊記事では、「一部の日本企業では中国現地に駐在員を派遣した」とあります。
これはいったいどのような方法で中国へ入国したのでしょうか。

 

現在、中国では過去発行されたビザは無効停止(3月28日より)となっており、中国に入国するには新たなMビザ(出張ビザ)の取得が必要となります。
コロナウイルス問題以前であれば、このMビザは日本にある中国ビザセンターで比較的容易に取得ができるものですが、現在は、中国の省級・直轄市級の外事弁公室または商務部門の招聘状(インビテーション)がなければ取得できません。

この外事弁公室等のインビテーションとは、入国の必要性を説明した特別申請により取得できるものとされており、中国にとっての重要基幹産業や、コロナウイルス問題などの防疫に資するものなど、その取得には一定の重要性制限がかかっているものと推察されます。またその発行地域も差があり、自動車産業・ハイテク産業のある地方都市での発行事例はありますが、他の大都市では発行された事例がないなど、地域状況によってばらつきがあるとのことです。

いずれにせよ、この新たなMビザ取得による入国制度(ファストトラック)でなければ現在中国には入国できず、一般事業会社の駐在員が中国に戻るにはまだ相当のハードルがあるものと考えられます。

注:ファストトラックによって中国に入国できたとしても、これは入国管理の問題であり、防疫は別問題となります。よってPCR検査による陰性証明が出せなければ、ファストトラックにて入国しても14日間の待機が必要になると思われます。

 

春節休暇などで一時帰国された駐在員などでは既に半年近く中国に戻れない方も出てきています。この状況により、工作許可証及び居留許可証の更新問題が出てきております。

工作許可証とは中国国内で就業してもよいという許可証(外専局発行)、
居留許可証とは中国国内に居住してもよいという許可証(公安局発行)であり、
駐在員の場合はZビザ(ビザは入国管理のための査証、駐日大使館・領事館発行)と合わせた3点セットの取得が求められます。

Zビザは前述の通り無効化されていますが、工作許可証と居留許可証は無効化されていません。しかし中国に戻れないため、間もなく満期(または既に満期)を迎えるため、問題となっている方もいらっしゃると思います。

 

ここで、工作許可証については、外専局HPにて更新の受け付けがなされており、満期が到来していない方は直ぐに更新手続を行っていただく必要があります。(なお既に満期失効してしまった方は、残念ながら救済する具体的制度は現在ありません。)

一方居留許可証については、HPなどでの更新はできず、中国に戻らないと更新ができない状態です。このため今後満期失効してしまう方も多く発生すると思われますが、かかる非常状況下ゆえに、何らかの救済策が出てくることを期待するしかないのが現在の実情です。

 

以上より、中国に戻れない駐在員の方々は少なくとも工作許可証の更新手続は行っておき、ファストトラックを含めた今後の入国規制状況に注意をし、もし中国に戻れた場合は、以下の対応が求められることになります。

  • Zビザは既に無効、ファストトラックによるMビザをZビザに切り替えられるのか?
    (なお上海市では、従来においてもMビザをZビザに切り替えることは可能であった)
  • 満期失効となった居留許可証はどうなるのか?
    (救済策は出るのか?)
  • もし工作許可証も失効してしまっていれば救済されるのか?
    (すでにHPでの更新可能策が出ているため、救済は難しい?)

なお、以上3点の問題は現時点で明確化されていません。

以上は駐在員を中心に記述していますが、出張者についても(工作許可証、居留許可証が不要なだけで)基本的には同じ問題となります。

コロナウイルス問題は今後共存を考えて行かなければならないと言われおり、その面では入国管理規制の緩和は難しい問題となりますが、一定の経済活動ができる体制の構築を期待したいものです。

以 上

 

関連記事

この記事について、中国進出のお問い合わせは CONTACT までどうぞ。