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INDONESIA JAPAN 移転価格
インドネシア速報「移転価格文書化についての規則」変更の概要
財務大臣令(No.213/PMK03/2016 ”PMK-213” 2016年12月30日付)
2017.01.23
日本ではOECDの税源侵食と利益移転(BEPS)勧告(行動13外国籍企業情報の文書化)を踏まえて、平成28年度税制改正により移転価格税制にかかる文書化制度が改正されています。これに歩調を合わせるかのように、インドネシアでもこの度の改正によって2016年12月31日終了年度から以下の対応が必要となりました。
ただし、この規則では2011年に発行されている租税総局No.32/PJ/2011が明確にキャンセルされていません。よって、金額規定である「一関連当事者との取引高が100億ルピアを超える場合に移転価格文書化が必要」という規定が有効かなどについては明確ではありません。
■OECDの移転価格モデルで要求されている以下の対応が必要となります。
・ マスターファイル(グループのグローバル活動に関する情報)
・ ローカルファイル(関連当事者間取引における取引価格が、独立企業間価格であることを説明するための資料)
・ 国別報告書(国別の活動内容の報告書”cbcレポート”)
■マスターファイルおよびローカルファイルの作成は以下の場合に必要となります。
・ 関連当事者間取引がある企業で、前年の年間の売上高が500億ルピア(約4億円)を超える会社
・ 関連当事者間で、商品、製品(有形物)の仕入や売上高が年間200億ルピア(約1億8000万円)を超える会社
・ 関連当事者間で、各種サービス、金利、その他の取引が50億ルピア(約4000万円)を超える会社
・ インドネシアよりも税率が低い国に関連当事会社を有していて、その会社と取引がある会社
■マスターファイルには以下の事項が記載されることが必要です(PMK-213の附則C)
・ 組織図や関連当事会社間の資本関係
・ 事業活動の形態
・ 無形財産(ノウハウ等)などの無形資産の保有状況
・ 財務活動
・ 親会社からの連結財務諸表、関連当事者間の税務情報
■ローカルファイルには以下の事項が記載されることが必要です(PMK-213の附則D)
・ 事業活動の説明
・ 関連当事者間取引およびその他独立企業間取引の情報
・ 独立企業間価格(アームスレングス)
・ 財務情報
・ 価格や利益基準に影響を与える非財務活動や事実等
■マスターファイルとローカルファイルの準備時期にご留意ください
決算日後4ヶ月以内。
税務当局へのファイル自体の提出は不要ですが(OECDモデルに準じると税務申告書に添付して提出することが義務)、PMK-213の附則Bに用意されているマスターファイルとローカルファイルの概要説明を税務申告書に添付することが必要となります。
■マスターファイルとローカルファイルの当局への提出が必要になる場合は以下のとおりです
・ コンプライアンスモニター(当局からのお尋ねなど)、税務調査、税務裁判時
・ 異議申し立て手続き、納税にかかる金利やペナルティの減額ないしは免除申請時
■国別報告書の作成が必要な会社は以下のとおりです
【親会社として】
・ 国別報告書の作成が求められていない場合
・ インドネシアと情報交換協定が結ばれていない国に親会社が所在する場合
・ 情報交換協定は結ばれているが、親会社の国別報告書が得られない場合
【また子会社として】
・ 多国籍のグループ会社を有していて、他の会社と直接または間接的な支配関係を有している場合
・ 昨年の連結売上が11兆ルピア(約1000億円)を超過するインドネシアの会社
・ インドネシア会計基準に準拠した連結財務諸表の作成をするインドネシアの会社
■国別報告書に必要な項目(PMK-213の附則E,F,Gに沿って作成)は以下のとおりです
・国
・法人の名称および納税番号
・事業活動の形態
・売上総額(各会社毎、関連当事者取引毎)
・税引き前利益
・支払い済み税金
・法人税要支払い額
・資本金
・繰越利益
・終身雇用従業員数
・現預金および金融資産以外の有形資産
■国別報告書の準備期限は以下のとおりです
課税年度終了後12ヶ月(2016年の国別報告書は2017年度の法人税申告書に添付)
■それぞれのファイルおよび報告書の作成言語は以下のとおりです
原則インドネシア語。ただし対象会社の記帳について英語での作成が認められている場合は、インドネシア語訳を添付のうえ、英語でも可。
以 上