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OECD移転価格文書化-CBCレポートは日本で義務化されるのか?「移転価格税制」

2014.06.12

今回は、同改訂案で新たに導入された国別報告書(Country-by-Country Report: 以下CBCレポート)について見て行きましょう。

CBCレポートとは、多国籍企業グループの各社に関する国別の所得、納税額、経済活動のグローバルな配分に関する情報を設立国ごとに記載した報告書です。

同レポートを作成し、税務当局に報告するのは多国籍企業グループの親会社です。親会社は同グループのすべての国外関連者について、以下の内容・金額を設立国ごとに決められた報告様式にしたがって報告します。

 

CBCレポート:国別報告様式
(国別の所得、納税額及び経済活動の配分概観)  

  • 実質管理地
  • 主要事業コード
  • 総収入金額
  • 税引前利益
  • 法人税(納付税額ベース)((a)所在地国納付額、(b)他国納付額)、源泉徴収税額、資本金及び利益剰余金、従業員数、従業員給与総額、有形資産額(現金及び現金等価物除く)
  • グループ内へのロイヤルティ支払額
  • グループ内からのロイヤルティ収受額
  • グループ内への利子支払額
  • グループ内からの利子収受額
  • グループ内への役務提供の対価の支払額
  • グループ内からの役務提供の対価の収受額

改訂案では、同レポートは親会社の事業年度終了日から一年以内に税務当局に提出することが求められています。作成言語は英語とされており、記載内容は必ずしも実務で収集されているものではないため、親会社及び国外関連者の事務負担の増加が予想されます。

また、同レポートは親会社所在国だけでなく、現地国の税務当局も入手可能なものとされています。当該情報から国別のおおよその利益水準が比較可能となりますので、日本だけでなく現地国の税務調査の呼び水となる可能性も否定できません。

 同改訂案は本年9月に採択が予定されていますが、どの程度、日本およびOECD加盟国で具体的政策として導入されるかは定かではありません。けれども、OECDガイドラインは国際規範としての機能を有しているものと言えます。日本及び現地国での移転価格文書化制度の大幅な改正を想定して、今から移転価格文書化の体制を整えておくことは必要と思われます。

以上