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どうしたら「利益を出し続ける」会社になれるのか
第4回 リーダーシップがない
2017.07.01
会社はいつも何かを決断しながら存在しています。誰に何をいくらで販売するのか?誰を採用するのか?
クレームにどのように対応するのか?・・・・・
会社が毎日意思決定している数や内容を考えると、それは途方もない量にのぼるでしょう。
会社の運命は、「何に関して、どのように意思決定するか」、そして「それをどのように実行するのか」によって決まります。といっても、これは会社に限らず、個人でも同じことです。これから何を誰と食べるのか、から始まって、どこの会社に就職するのか、誰と結婚するのか・・・・。 個人の日常も意思決定の連続で、それによって我々の運命は大きく変化します。
会社にとっても、個人にとっても大事な意思決定ですが、それには以下のような特徴があります。
●意思決定には日常的な意思決定と、大きな方向性を決めるような非日常的な意思決定の
2種類がある
●意思決定は適時になされる必要があり、それが遅れると取り返しがつかなかったり、多額の
損失が発生することもある
●いくら適切な意思決定がされたとしても、実行されなくては意味がない
今回のテーマは「会社におけるリーダーシップ」です。人によってその捉え方は変わりますが、私はこの意味を「会社の非日常的な意思決定を適時適切に行って、周りの人を巻き込みながらそれを実行させていくこと」にあると考えています。
先ほど個人も会社も、その運命は意思決定によって変化すると言いましたが、その実行過程はそれぞれ異なります。これは、個人は「自分で決めたことを自分で実行すればよい」のですが、会社は複数の人の集合体であるため、意思決定を行動に移すためには、「自分だけではなくて他人を巻き込まなくてはならない」という点です。
多くの会社を見ていて、会社の意思決定がいつも適切になされるわけでなくて、かつ着実に実行されているわけでもないことを実感しています。
これを書いている最中にも日本を代表する電機メーカーが、在外子会社の赤字に耐えられずに経営危機になっているということが大きく報道されています。
また社長が交代して、周りが先代社長の子飼いの部下ばかりの中で、新社長が功を焦って大きな決断をした結果、それがうまくいかなかった例。環境の変化に対して、早く手を打つ必要があったのに、決断が遅れて取り返しがつかなくなった例は少なくありません。
会社の運命が「会社の意思決定とその実行の仕方によって決定される」のだとすれば、またリーダーシップの意味が「会社の非日常的な意思決定を適時適切に行って、それを実行させていくこと」にあるのだとすれば、これらの事象はリーダーシップのとり方が原因だったということになるのでしょう。
リーダーといっても人間である以上、その情報は限られますし、また判断がいつも正しいとは限りません。結果として誤ってしまうこともあります。
ただなるべく誤らないようにする。また誤った意思決定を行ったとしても、その傷を浅くするためにはどうしたらよいのでしょうか?
必ずしも正解ではないかもしれませんが、ここでは思うままにいくつか挙げてみましょう。
●トップが意思決定をするうえでの価値観を明確にして、それを社内に共有するように努める
こと
●組織としての目標をトップが明確に打ち出して、かつ社内に共有し、意思決定はそれを達成
するための手段と位置づけること
●変化(外部・内部環境、業績など)に敏感になって、その影響・原因分析に努めること。
また変化が社内に伝わりやすくするようにオープンな社風を作ること
●「トップ単独の意思決定」(スピードが速く、責任は明確になるが、個人の思い込みにより
失敗する可能性もある)と「組織的な意思決定」(スピードは遅くなり、責任は曖昧になり
やすいが、皆で協議して決定する分、適切な意思決定ができる可能性が高い)との違いを
認識して、自分の組織にどちらが合ってるのか、必要に応じた使い分けを考えること
●意思決定した後は、それをなるべく早く行動に移すとともに、社内に丁寧に説明して、協力
してもらえるように努めること
●意思決定・行動の結果を分析して、必要に応じて次の行動を起こすとともに、その過程を
今後の経験の蓄積のために残すこと
自分で書いていながら、どれもかなり難しいことだと思います。自戒の念も込めて考えてみました。ただ、会社がうまくいくのも、またおかしくなるのもリーダーシップの力が大きく影響することは事実です。これは多くの会社を見た実感です。
皆さんなりのリーダーシップ、改めて考えてみることをお勧めします。
以 上