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どうしたら「利益を出し続ける」会社になれるのか
第7回 目標と予定がない③
2017.07.15
前回は会社の「目標」を設定する際の「コツ」について考えてみましたが、今回はそれを達成するための道具である事業計画の「コツ」について考えてみましょう。
まずは事業計画ですが、以下のように分類されます。
(目標によって分類する)
・ワード型 ・・・
主に外部へ説明するために、数字だけでなくて、根拠となる文章も多く交えて作成される。
例えば投資家に提示する「目論見書」はその典型例。
・エクセル型・・・
主に社内の経営管理ツールとして、数字をメインにして作成される。時にはこれが銀行等の外部に直接提示されることもある。
(期間によって分類する)
・中長期事業計画・・・
3年~5年間程度の期間で策定される。特に2年目以降は年度もしくは四半期毎に作られることが多い。
・単年度予算 ・・・
将来1年間のものが策定される。月次に展開して作成されることが多い。
(計画の範囲によって分類する)
・利益計画 ・・・
売上高から当期利益までの、損益計算書形式での計画をいう。
・総合計画 ・・・
利益計画のほかに、貸借対照表計画、資金計画、人員計画、投資計画など資金、人員などを含めた総合的な計画をいう。
(作成単位によって分類する)
・全社計画 ・・・
全社を一つの単位として策定する。
・部門予算 ・・・
全社を複数の損益単位(工場、部、課など)に分類して、損益単位ごとに計画を策定する。
(作成過程によって分類する)
・トップダウン型・・・
全社の目標(主に利益)を経営トップが決定して、それにもとづいて損益単位ごとに利益の割り振りを行って、部門計画等を策定する。
・ボトムアップ型・・・
損益単位ごとに計画を策定してから、それを積み上げて、全社の目標を決定する
こうやって並べてみると、事業計画といっても内容や策定過程には複数の種類があることがわかります。それぞれに意味や、特徴があるのですが、もし皆さんの会社が、事業計画を策定・運用することに慣れていないとしたら。また皆さんの会社の目標が利益を獲得することにあるのだとしたら、私はエクセル型の利益計画を策定されることをお勧めします。
さてここで事業計画を上手に策定・運用する「コツ」について考えてみましょう。
① 事業計画は実績と比較されて意味がある。さらに事業計画は達成されなくては意味がない
事業計画は目標を達成するための道具であることを考えると、事業計画は実績と比較されてこそ、その意味があります。ただ策定されているだけではまさに「絵に描いた餅」。「実績と比較」して、さらに「実績を評価する」こと、「今後の行動を修正する」ことが重要です。
もったいないのは、せっかく事業計画を策定しながら、実績と比較していない会社。また比較しても、それが達成できなかったと反省ばかりしている会社です。なぜそれが達成できなかったのか? またそれを達成するための修正計画を策定して、何としてもそれを達成することを一人でなくて、「皆で考える」ことこそが重要です。
せっかくなので達成可能な事業計画を立案して、安定した経営を目指してみましょう。もし達成不可能な事業計画しかできないのであれば、改めて目標の見直しを行う必要があります。
② 月次決算を行っている会社では月次レベルで。また実績管理のレベルに応じて部門予算の策定を考える
事業計画は実績と比較されて意味があることを考えれば、月次決算を行っている会社では月次レベルで単年度予算を策定すべきです。また例えば部門ごとに実績を集計している会社では、部門単位でそれを策定することがポイントです。逆に部門別の決算を行っていないのに、事業計画だけを部門別に策定しても、実績と比較ができないのですから意味がありません。さらにはPDCAサイクルの前提として、比較対象としての迅速で正確な月次決算が求められます。事業計画を上手に利用するためには、管理レベルの向上が必要となります。
③ 必ず会議で進捗結果を話し合う
事業計画と実績との比較は、会議の場で行われるべきです。そのような場があるからこそ、皆は計画を達成するために頑張るのです。さらに計画と実績の比較資料の形式は、PDCAを意識して会社がフォーマットを用意したうえで、担当者が自分で作成することが有効です。
先月の反省点と、今月の戦略がどうだったのか。それに基づいて行動した結果が、どうなったのか。さらに来月にむけて反省すべきポイントはどこにあるのか。この繰り返しを皆の前で発表することで、目標達成の可能性が高まってきます。
④ 会議の内容、雰囲気作り、連携が重要である
目標が達成できなくて、一方的に怒鳴られて会議が終わる。そんなシーンがドラマに時々ありますが、いくらそれを続けても担当者のやる気はなくなるばかりです。さらに会議には複数の人々が参加しているのです。せっかくなのだから、皆が意見を自由に出し合って、建設的な意見が交わされるように努力すべきです。
できない人がいるのなら、否定的な意見に終始するのではなくて、どうすれば他の参加者が、その人を助けてあげることができるかについて話してみてください。
さらに全社会議で交わされた内容が、他の会議にも正確に伝達できるといった、組織内に情報を行きわたらせる配慮も必要です。
以 上