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JAPAN 国際税務 税制改正 

平成31年度税制改正で国際課税何が変わる?
「国際課税の基となる考え方のBEPSプロジェクトとは?」

2019.03.19

平成30年12月14日に公表された税制改正大綱から国際課税を中心に紹介します。

平成31年度税制改正の基本的考え方の一文に、「わが国は「BEPSプロジェクト」において主導的役割を果たしてきましたが、引き続き、電子化を含む経済実態の変化等に対応する国際的ルール作りに積極的に参画するとともに、諸外国における取組みも踏まえ、国際合意に則った制度の見直しを進める。」と記載があるとおり、今回の国際課税の改正はBEPS行動計画の内容に沿った改正が中心となります。

 

BEPSプロジェクトとは

そもそもBEPSプロジェクトとは、グローバルビジネスの変化により、各国の国際課税制度のズレを利用することにより、人為的に課税逃れを行っている問題(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)に対処するため立ち上げられたプロジェクトで、BEPS行動計画とはOECD/G20の要請により策定された15項目の計画をいい、平成27年9月に最終報告書がまとめられました。

行動計画には租税条約の濫用防止や有害税制への対抗や、今回の改正項目である利子控除制限ルールや移転価格税制と価値創造の一致などが盛り込まれています。

 

BEPS行動計画による日本の役割と税制改正について

 BEPS行動計画の策定と実施において日本も主導的役割を担っており、実際に日本の国際課税では行動計画に則って過大支払利子税制、国境を越えて提供される電子商取引等に対する消費課税、多国籍企業のグローバルな活動状況に関する報告書(国別報告書等)の提出制度、租税条約等の情報交換規定に基づき各国の税務当局で金融講座情報の提供を行う自動的情報交換制度、外国子会社合算税制、恒久的施設(PE)関連規定の改正などが行われており、今後も見直しが行われていくものと思われます。

 

次回は今回の改正項目の一つである移転価格税制の改正について、内容と影響について紹介していきたいと思います。

予定

第2回 移転価格税制

第3回 過大支払利子税制

第4回 外国子会社合算税制